第111章 思わぬ出会い(7)
雅「あの…」
櫻井「あ、ああ…すまない。確か君は和也くんとは従兄弟ではなかったかな?」
雅「そうですけど、僕の両親が亡くなった事で大野の父が養子にしてくれたんです」
櫻井「そうか…」
…?どうしたんだろう…急に暗い表情に…
それに何で雅紀の名前を聞いただけで和也の従兄弟だと…
櫻井「…もう一人の彼も兄と言っていたが…?」
翔「…初めして…翔といいます」
櫻井「大野さんはまた再婚をされてたかな…?」
翔「…いえ…今は大野の籍に入ってますが、本名は…櫻井翔といいます…母は…『大崎陽子』です…」
櫻井「なっ!?」
その時、櫻井社長の表情が変わった
翔「…ご存知ですよね…?母の事は…」
すると櫻井社長は突然電話をかけだして
櫻井「…私だ…暫くこの部屋には誰も近付けないでくれ…」
そう言って電話を切った
そして俺達に席につくように促してきた
櫻井「…本当に君の母親は大崎陽子なのか?」
翔「はい…母が生前住んでいたアパートの元管理人の方から話を聞きました。恐らく間違いは…」
櫻井「生前…?じゃあ陽子は…」
翔「…亡くなったそうです」
俺の言葉を聞いて櫻井社長は明らかに落胆しているようだった
…やっぱり知らなかったのか…
櫻井「まさか…君は私の…」
翔「解りません…母の死後僕は別の家庭で育てられました。実の母の事を知ったのはつい最近です」
櫻井「…だが、何故本名が櫻井だと…」
俺はカバンから絵本を取り出した