第101章 僕は君を想う(1)
~潤side~
お昼のピークも終わり、夜の仕込みをしていたら
<カランカラン>
翔「いらっしゃ…あっ!」
「こんちはー」
…?何か聞き慣れた声がしたけど…
翔「おーい潤!お客だぞ!」
潤「客?」
翔兄さんに呼ばれて店内に入ると
潤「客って…あっ!」
「よう潤!久しぶり!」
潤「圭人!久しぶりだな!」
高校の時の友人、林田圭人が来ていた
圭「お前水くさいぞ!店出したって言ってくれたら華くらい出したのに」
潤「悪い、バタバタしてて連絡出来なかったんだ…まぁ座れよ」
店内の隅の席に座るように圭人を促して、その向かい側に俺も座った
潤「でもよくここが解ったな。俺誰にも連絡しなかったのに」
圭「俺高校卒業して県外に出たから、久しぶりにお前に会いたくなって家に行ったんだよ」
潤「家って…もしかして前の…」
圭「そ、でもそこには知らない親子がいて、聞いたらここで店を出してるって言うから来てみたんだ」
そっか…皆には言ってないもんな…俺が『松本』から『大野』になったって…
圭「でも凄いよな…お前確かに一流のシェフになりたいって言ってたもんな。かなり繁盛してるんだって?」
潤「そんな事はないけど、まぁ忙しくはしてるよ」
翔「圭人久しぶり、何時こっちに帰って来たんだ?」
翔兄さんはコーヒーを置きながら圭人に話しかけてきた
圭「昨日です。年末年始が忙しくて休めなかったから、今まとめて休みをもらって」
翔「そっか…ゆっくりしてな」
圭「ありがとうございます」
そう言って翔兄さんはカウンターに戻っていった(最近の翔兄さんはコーヒーを淹れるのが結構旨い)
圭「…相変わらず美人だよな…翔さんって…」
…その言葉、雅紀兄さんの前で言うなよ