第97章 明けない闇、新たな光(3)
翔ちゃんを連れて俺は自分の部屋に戻った
翔「あ…あの…雅紀?」
雅「ん?何翔ちゃん」
部屋に入ると翔ちゃんはうつ向き、ただ佇んでいた
翔「いや…その…す、するの…?」
雅「へ?」
する…?
…あ…もしかして…
俺は翔ちゃんの手を離し、手のひらを翔ちゃんの前にかざした
雅「見て翔ちゃん、俺の手」
翔「え?」
言われた通りに翔ちゃんは俺の手を見ていた
雅「ちょっと湿っぽいでしょ?これ翔ちゃんの汗だよ」
翔「え!そ、そうなのか!?ご、ごめん!」
翔ちゃんは慌てて俺の手を拭きだした
雅「違うよ。俺が言いたいのは、翔ちゃんが俺とやるのはまだ恐いの分かってるって事だよ」
翔「え…」
翔ちゃんは俺の手を握ったまま俺を見つめてきた
雅「だって翔ちゃん、俺と手を握ってる時ずっと震えてたでしょ」
翔「ご…ごめん…そんなつもりじゃ…」
雅「大丈夫、俺は全然気にしてないよ。ただ翔ちゃんと二人きりになりたかっただけだから」
翔「雅紀…」
俺の言葉に翔ちゃんは涙を滲ませながら俺に抱き付いてきた
翔「ありがとう雅紀…好きになったのが雅紀で良かった…」
雅「翔ちゃん…ありがとう…でもね正直に言うと、ちょっと潤に嫉妬しちゃったんだ」
翔「潤に?何で…」
雅「だって、さっき潤も言ってたけど記憶喪失の間、翔ちゃん俺にもずっと遠慮がちだったもん…」
翔「…ぷっ」
雅「へ?」
…何故か翔ちゃんは突然噴き出してしまった…
翔「『もん』って…拗ねてるのか?お前…」
雅「んー…かも」
翔「アハハ!ごめんごめん!」
あ…翔ちゃん笑ってる…本当に翔ちゃん戻ったんだ…
雅「…一緒に寝る?」
翔「…うん」
まだ翔ちゃんの心の傷は癒えないけど、俺が全力で側で守るからね