第93章 もどかしい想い
~翔side~
俺が退院してから数日…大野家の皆は本当に良くしてくれてる…
でも…俺は何も思い出せないままだった…
智くんは「無理に思い出す事なんてないよ」って言ってくれたけど…
翔「そういえば潤も同じような事言ってたよな…」
頭を打ったとかじゃなかったら、きっと精神的な何かがあったんだろうけど…
大野家での事を思い出したくない何か…
…いや…多分それは違う…
ほんの少しだけど、あの家にいて居心地の悪さは全くなかった
それどころか松本家にいた時と同じような安心感がある…
翔「…焦ったって仕方がないのかな…」
リハビリがてら(潤には思い切り反対されたけど)買い出しに出かけ、そのまま真っ直ぐ帰ろうとしていた時
「翔!」
翔「え?」
突然後ろから声を掛けられた
岡「よう!相変わらず美人だな、翔。買い出しか?何ならこの後一緒に飯でもいかないか?」
翔「え?あ、あの…」
ど、どうしよう!この人俺の事知ってるって事は大野家に来てから知り合った人なんだ!
岡「…?どうした?翔…」
ダメだ!どんな人かも解らないのに簡単に返事なんて出来ない!
翔「すみません!急いでるので失礼します!」
岡「え?お、おい翔!」
俺は走ってその場から逃げ出した
帰りついてさっき会った人の事を聞いてみようと店に行った
翔「ただい…」
店内に誰もいなかったから厨房に行ったら…
和「…ふっ…ん…ん…」
翔「…え?」
じ…潤と和也が…キスしてる…?