第84章 智の決意
焦らなくて良いって言われて、じっくり考えていたけど…
智「…やーっぱ解んねーんだよな…」
正直自分の気持ちが一番よく解んねーな…
俺は今日の依頼を終え、もう遅い時間だったからそのまま直帰するため歩いていた
その時、反対側の歩道を松兄が歩いているのが見えた
智「あ…」
そういえば俺、あのプロポーズ以降松兄に会ってなかった…
まだ俺の気持ちもハッキリしてないのに顔を会わせづらいから、そのまま帰ろうとしたら視界の片隅に…
智「…え?」
松兄の横に、背の高い女性が並んで歩いているのが見えた
智「松兄…まさか…恋人…?」
松兄は背が高くて男の目から見ても格好いいから、昔から色んな女性から告白されていた
だから恋人がいたって何も不思議な事はないんだけど…
智「松兄…」
松兄は俺に気付く事なくその女性と車に乗って行ってしまった
俺は何も考えられず、ただ立ち尽くしていた
和「…あれ?智兄さんどうしたんですか?こんな所で…」
智「・・・」
和「智兄さん…何かあったんですか?」
智「…え?和也…?」
和也は俺の前にハンカチを差し出してきた
和「何か辛いことでもありました?」
和也からそう言われて、初めて俺は泣いていた事に気が付いた
智「あ…あれ…何で俺…」
拭いても拭いても後から涙が流れ落ちてきた
和「…私で良ければお話聞きますから、とりあえず帰りますか?」
智「和也…」
俺達はそのまま自宅へと戻った