第78章 忘れられぬ想い(8)
~雅紀side~
雅「アメリカ…ですか?」
葛「ああ、来月には行くようになると思う」
突然俺に葛城さんが会いたいと言ってきて、近くのカフェで話をしていた
雅「何故突然…」
葛「以前から話はあったんだ。ニューヨーク支店の支店長として行って欲しいと」
支店長…凄いな…でも…
雅「何故この話を俺に?翔ちゃんは知ってるんですか?」
葛「いや…翔には言ってない…今回の件が上手くいったら、翔に話をして一緒にアメリカに行こうと思ってた」
雅「今回の件が上手く?」
葛「…翔を俺の恋人役から本当の恋人にする事」
雅「・・・」
やっぱり…そういう目的があったんだ…
葛「正直ストーカーの存在に気付いた時、チャンスだと思った…翔に恋人役を依頼してそのまま俺の恋人にしてしまおうと…でもダメだった…翔の気持ちは俺には全くなかった…」
雅「それでアメリカに行こうと?」
葛「まぁ…それが原因って訳じゃないけどな。いいキッカケにはなったな」
俺は複雑な気持ちになった…これじゃまるで…
葛「言っとくが、お前達のせいじゃないからな?この話はかなり前からあったんだから」
雅「…はい」
葛「多分、これでストーカーも諦めるだろうし…だから今回の依頼はこれで終了にしてくれて構わないから」
…本当にこれで終わりなんだろうか…
ストーカー問題ってそんなに簡単には終わらないんじゃ…
俺はスッキリとした気持ちになれなかった