第75章 忘れられぬ想い(5)
~雅紀side~
雅「翔ちゃん…何処にいるんだよ!」
俺は車から降り、町中を探していた
雅「…もしかして、もうここを離れたのか?」
もう一度車に戻ろうとした時反対側の歩道を見ると、パーカーを被り何かを探しながら走っている人物を見かけた
そしてその人物の手には…
雅「え?あれ…カッターナイフ?」
大きなカッターナイフらしき物を持っていた
雅「まさかアイツが!?」
もしかしてアイツ翔ちゃんを探してるのか!?
俺はストーカーらしき人物がいた付近を探しだした
ー翔ちゃん…無事でいて…翔ちゃん!ー
暫く付近を探しているとビルの隙間に人影が見えた
ーもしかして…ー
どうやらさっきのストーカーは見失ったらしく、近くにはいなかった
俺はその人影に近づくと、そこには
雅「翔ちゃん!!」
翔ちゃんが壁にもたれ掛かり、グッタリとしていた
雅「翔ちゃん!翔ちゃん!!」
俺が翔ちゃんの身体を揺すると、うっすらと眼を開けた
翔「…雅…紀…?」
雅「翔ちゃん良かった!やっと見つけた!」
暫くすると翔ちゃんは眼を見開いて
翔「ど…して…雅紀がここに…?」
俺の顔を見ると翔ちゃんはハラハラと涙を流しだした
俺は翔ちゃんを強く抱き締めた
雅「翔ちゃんゴメンね…俺…翔ちゃんの気持ちわかってなかった…そのせいで翔ちゃんの事傷付けて…」
翔「雅紀…雅紀は悪くない…お前は俺の事心配して…」
雅「…翔ちゃん?」
気がつくと翔ちゃんは俺に凭れたまま、意識を失っていた
翔ちゃんの呼吸が苦しそうだったから、額に手をあてると
雅「酷い熱だ!すぐ病院に…」
俺は翔ちゃんの身体を抱えようとした時
雅「…え?軽い」
翔ちゃんの身体は驚く程軽く感じた
ーこんなに痩せて…本当にごめんね翔ちゃん…ー
俺は翔ちゃんを抱えて車まで走った