第74章 忘れられぬ想い(4)
スマホを見ると、電話の相手は翔ちゃんだった
雅「翔…ちゃん…」
和「…出ないんですか?」
俺は一瞬ためらったけど、通話をタップした
でも何も言葉が出なかった…すると
翔『雅紀…突然ごめん…何も言わなくて良い…俺の話聞いてくれるか?…聞きたくなかったらこのまま通話を切ってくれ…』
雅「・・・」
俺は何も言えないままそのままスマホを耳にあてていた
翔『…ありがとう…雅紀…この間は本当にごめん…お前は俺の事心配して止めてくれたのに、勝手に依頼を受けて…でも、これだけは信じてほしい…俺は葛城さんから助けてもらったから、今度は困ってる葛城さんを俺が助けたいと思って依頼を受けただけなんだと…』
わかってる…その事は俺も感謝してるから…
翔『でも正直、依頼内容を聞いた時は迷った…たとえ演技でも葛城さんの恋人役をするのは…俺が好きなのは…雅紀だけだから…』
翔ちゃん…
翔『けどあの時、雅紀は止めてくれた…その時俺はお前の気持ちを知ることが出来て嬉しかった…お前は家族として…恋人として俺の事を想って言ってくれたんだって…だから決めたんだ。以前おまえも同じ条件で依頼を受けたのに、俺だけ我が儘なんて言えない…たとえこの依頼を受けても、俺達の気持ちは変わらないって…でもその事でお前を傷付ける事になるなんて思わなかった…』
俺じゃない!傷付いてるのは…翔ちゃんだ!!
翔『…もうお前が俺の顔も見たくないなら、俺は二度とお前の前に現れない…でもこれだけは言わせて…俺が心から愛してるのは雅紀…お前だけだから…』
雅「し…!」
翔『本当にごめん…今までありがとう…雅紀…』
そう言って電話は切れた
雅「翔ちゃん!!」
和「雅紀兄さん!?翔兄さんはどうしたんですか!?」
雅「和!翔ちゃんはどこ!?」
和「か、葛城さんの所に行くって…」
雅「場所教えて!!」
何処にも行かせない!!待ってて!翔ちゃん!!