第73章 忘れられぬ想い(3)
~翔side~
昨夜は雅紀と一言も言葉を交わす事なく朝を迎えた
翔「…朝か…」
結局俺は昨夜一睡も出来きず、起きて鏡を見ると目が赤く瞼も腫れていた
翔「…酷い顔だな…」
…皆驚くかな…とりあえず顔を洗って冷やすか…
俺は真っ直ぐ洗面台に向かい、タオルを濡らして顔に当てていた
和「おはようございます。翔兄さん」
翔「和也…おはよう…」
和「え?翔兄さんどうしたんですか!?その顔」
…やっぱ目敏いな…和也は…
翔「何でもないよ。ちょっと昨夜眠れなかったから寝不足なだけだよ…それより、潤と仲直り出来たようで良かったな」
和「え?」
翔「ここ」
俺は自分の首に指を指した
すると和也は気がついたのか、顔を真っ赤にしていた
和「…ついてます?」
翔「うっすらとだけどな…良かったな、和也」
和「…あの翔兄…」
翔「…先に行くよ」
和也が何か言いたげだったけど、何を言いたいのか解ったから聞こえないふりをした
潤「翔兄さん、おは…」
翔「おはよう…大丈夫だよ」
潤「・・・」
俺がキッチンの椅子に腰掛けようとした時
雅「…おはよう…」
潤「雅紀兄さん、おはよう」
雅紀が起きてきた
翔「雅紀…あの…」
雅「…潤。悪いけど俺朝食は良いよ。依頼が入ってるから出掛けに何か買って食べるから」
潤「え?うん…」
翔「待って雅紀!」
雅「行ってきます」
雅紀はそのまま出掛けていった
…俺と目を合わせることもなく…
和「翔兄さん…今のは」
翔「…俺が悪いんだよ…雅紀は俺の事心配して言ってくれたのに…俺が…」
潤「翔兄さん…」
渇れ果てたと思っていたのに…俺の目からはまた涙が溢れ出てきていた…