第70章 忘れられぬ想い(1)
葛「久しぶりだな…翔」
翔「葛城さん…どうしてここに…?」
葛「話は後だ。とりあえずコイツを片付けるか」
そう言いながら、葛城さんは男の腕を離した
客「片付けるだと!?何なんだテメェは!」
葛「お前と同じだよ。男娼館で翔に会ってホレた一人だ。」
すると男はニヤリと笑い
客「へぇー…なら、あんたも混ざるか?たまには3人でってのも悪くないな。なんなら俺はそっちの小柄な方でも良いぜ」
潤「なっ!?」
男の言葉にカッとなった潤は、掴み掛かろうとした所を葛城さんが制止した
葛「お前と翔の会話を聞かせてもらった…訴えられる前に帰った方が身のためだぞ」
客「何だと?」
葛「『偽計業務妨害罪』に『恐喝罪』…お前のやった事は立派な犯罪だ」
客「なっ!?」
葛城さんの言葉に男は顔色を変えた
葛「何なら警察を呼ぼうか?その方が手っ取り早い」
和「ああ、ここに電話がありますので連絡しますね」
和也が電話に手を取ると男は慌てて逃げ出そうとした
葛「おっと!お前このまま行くと食い逃げだぞ?『窃盗罪』も追加だ」
客「うわわわっ!」
男は俺に財布ごと渡して逃げた
翔「あっ!財布…!」
葛「食事代だけ抜いておけよ。俺が後で警察に遺失物として届けておくよ」
翔「…『偽計』は違いますよね?事実なんだから…」
葛「『名誉毀損』にはなるだろ」
そう言って葛城さんは微笑んでくれた
翔「葛城さん…ありがとうございます。お陰で助かりました」
葛「いや…ちょうどお前に依頼を頼もうと思って来たら、思わぬ場面に遭遇したよ」
翔「え?」
依頼?俺に…?