第62章 家族になろう(8)
~翔side~
葛城さんのお陰で、俺はあの店を出ることが出来た
帰る途中、雅紀と潤からあの伯父の男は恐喝罪で逮捕されたと聞いた
俺が録音していたテープレコーダーが物的証拠になったらしい
父親の方も、虐待の事実を認めたとの事だった
雅「翔ちゃん、着いたよ」
俺は何日かぶりに大野家に戻ってきた…
潤「翔兄さん…皆待ってるよ」
翔「・・・」
雅「翔ちゃん?」
二人とも俺を家の中に入るよう促すけど…
翔「…やっぱり駄目だ…俺はここにはいられない…」
こんな汚れてしまった俺は…
潤「…それは、中に入って自分で確認して」
雅「ほら、翔ちゃん早く!」
翔「あっ!ま、待って…」
雅紀に腕を捕まれて、俺は家の中に入った
雅「ただいまー!」
雅紀が声をあげると、奥から智くんと和也が出てきた
智「翔くん!」
すると、俺の顔を見るなり和也が走ってきて
〈パーーーン〉
と、俺の頬を叩いた
翔「和也…」
そして、俺に抱きついてきた
和「翔兄さん!あなたは何で自分一人で抱え込もうとするんですか!私達は家族でしょ!?もっと信頼して下さい!!」
家族…俺は皆と…
智「翔くん…和也の言う通りだよ。俺達にもっと甘えてくれて良いんだよ」
翔「智くん…」
馬鹿だ…俺は…自分だけが我慢すれば良いと思っていた…
でもその事で、逆に皆を傷付けていたんだ…
翔「ごめん…本当に…ごめん…」
俺は抱きついたままの和也を抱き締めた