第57章 家族になろう(3)
~翔side~
翌朝、智くんから岡田さんに連絡したと聞いた
状況次第でどうなるかは解らないから、とりあえず今出来ることをしておこうと思い、星児を連れて出掛けていた
翔「さ、着いたぞ」
星「え?し、翔兄ちゃん…ここって…」
星児を連れて来た場所…それは、星児が万引きをしたスーパーだった
星「何で?翔兄ちゃん…俺やだよ!」
俺の手を振りほどいて逃げようとする星児の腕を掴み、しゃがんで目線を合わせた
翔「星児…お前が輝のために万引きしたのはわかってる。それが生きていくために仕方なかったって事も…だがな星児、事情がどうであれ、お前のやった事は立派な犯罪なんだ。お前が輝と離れたくないというのなら、お前は輝の兄として、ちゃんとお手本にならないといけない…わかるか?」
星「…うん…」
翔「よし、行くぞ。俺もついててやるから」
俺は星児の手を握り、店内に入って近くにいた店員さんに事務室を案内してもらった
<コンコン>
店員「店長、お客様です。どうぞ」
翔「ありがとうございます」
店長「お客?ああ『テンペスタ』の…えーっと、翔さん!今日は何か…あ、その子供は!」
翔「はい…先日は大変申し訳ありませんでした。ほら、星児」
星「…ご、ごめんなさい…」
店長「そういえば、あの時の代金は翔さんが支払ってくれましたね…一体どうゆう関係で?」
俺は店長に事の顛末を説明した
店長「そうか…まぁ、本来なら警察に届けるんだけど、そんな事情があったのなら、今回は大目にみるよ。ただし、今回だけだからな」
星「あ…ありがとう…ございます…」
俺達は店長に深々とお礼を言って事務室を出た
翔「星児、よくやったな」
星「うん!ありがとう翔兄ちゃん」
俺が星児の頭を撫でると、やっと笑顔になった