第55章 家族になろう(1)
それから暫く、俺は輝の看病をしていた
そこに和也が入ってきた
和「どうですか?子供の様子は」
翔「うん…熱はまだあるけど、少し落ち着いたみたい」
和「そうですか…可哀想に…こんな小さな子供が…」
翔「…さっき着替えさせた時、輝の方には殴られたような痕はなかったんだ…だから、多分星児が全て暴力を受けてたんだろうな…そういえば星児は?」
和「ゲームしてる途中で眠ってしまったので、雅紀兄さんが自分の部屋に連れて行きました。今日は一緒に寝るそうですよ」
翔「そうか…悪かったな、皆にも迷惑かけて…」
俺が謝罪すると、和也は少し驚いたような顔をしたけど、すぐにふっ…と微笑んで
和「翔兄さん…私達は家族ですよ?迷惑な事なんて全くありませんから」
翔「和也…」
赤の他人の俺が…家族…
全てを知ってても、尚俺の事…
俺は和也の言葉に思わず涙が溢れだした
和「翔兄さん、最近涙もろくなりましたね。歳ですか?」
翔「う、うるせー…」
俺は泣き顔をこれ以上見せたくなくて、和也から顔を背けた
和「でも、翔兄さん…今後はどうするんですか?」
翔「…勿論、虐待が本当なら家に帰す訳には行かないから、暫く様子をみてみるよ。その間に色々調べてみる…」
和「そうですね…私達も協力しますから、何でも言ってください」
翔「うん…ありがとう…」
俺が松本の両親からもらった愛情を、今度は俺がこの子達に与えるんだ…