第54章 真実
和「じゃあ以前言ってた、翔兄さんはお父さんの連れ子って言うのは…」
翔「ああ、違うよ。潤にバレないために言ってただけだし、正直俺、松本の戸籍には入ってないから」
和「え!?で、でも…」
翔「高校卒業してすぐに除籍したんだ。実の息子のように、潤と分け隔てなく育ててくれた両親には申し訳なかったけど、潤を両親の代わりに自立させたら、俺の役目も終わりだと思ってたから、その時櫻井に戻ろうと思ってたんだ」
和「…もしかして、潤くんの前から姿を消すつもりで…?」
その事について、翔兄さんは何も言わなかった
翔「でも、その前にお前達が訪ねて来てくれて、皆に出会えた…」
和「ひょっとして、智兄さんが事前に潤くんの事を調べた時、翔兄さんの事に気付かなかったのって…」
翔「多分、智くんは戸籍を調べたんだろうな…でも、俺はその前に除籍してたから、気付かなかったんだろ」
…そう言う事だったのか…
和「翔兄さん」
翔「ん?」
和「いずれ櫻井に戻ろうと思っていたと言う事は、本当の両親を探すつもりですか?」
翔「いや…今更本当の両親に会いたいとは思わないけど、真実は知りたいかな…?あの日、何で俺の事を捨てたのか…」
そう言って翔兄さんは絵本を見つめていた
そんな翔兄さんを見て思わず抱き締めていた
翔「?どうした?和也…」
和「大丈夫…翔兄さんには雅紀兄さんも、私達もいます…翔兄さんは一人じゃないんです…」
すると翔兄さんはそっと俺の背中に腕を回して
翔「…うん…ありがとう…」
そう言って泣いているようだった…