第52章 この命に代えても…(6)
~翔side~
翔「…う…ん…」
智「お、翔くん。気がついたか?」
翔「…え?智…くん?ここ…」
智「病院だよ。翔くん、火災現場から助け出されたんだよ」
火災…そうか…俺助かったんだ…
そう言われ病室内を見回すと、一人見当たらなかった
翔「雅紀…雅紀は!?」
すると智くんの後ろにいた和也が
和「ほら、ご指名ですよ。隠れてないでとっとと出なさい!」
そう言って、潤の後ろにいた雅紀を引きずり出した
見るとあちこちに包帯やらガーゼがついていた
翔「雅紀、怪我したのか!?」
智「火傷だよ。確かにあちこち手当してるけど、そんなに酷いものはないから」
その時、俺の身体には火傷の治療跡は見当たらない事に気がついた
翔「雅紀…もしかして、俺の事庇って…」
雅「…翔ちゃんと同じだよ。何があっても翔ちゃんの事守りたかったんだ…」
翔「雅紀…」
和「大丈夫ですよ、翔兄さん。昔からこの人馬鹿の一つ覚えみたいに、こういった怪我ばかりしてるんですから。簡単には死にはしませんよ」
雅「和ちゃん…相変わらずキツいな…(涙)」
翔「雅紀…ありがとう…」
俺がお礼を言うと、雅紀は照れたように鼻の頭を指で掻いた
智「とりあえず良かったよ、皆無事で。後は翔くんの怪我を治すだけだな」
翔「あ…でも…」
あの工場跡地から犯人の男は逃げ出していたから、雅紀が助かったと知られたらまた狙われる…
潤「大丈夫だよ翔兄さん、犯人の男は捕まったから」
え!?犯人が捕まった!?