第51章 この命に代えても…(5)
雅「無理だよ…二人であそこまで行くのは…」
翔「…お前だけなら…あそこから出られる…」
雅「…え?」
翔「俺は…いいから…お前だけでも…逃げて…」
何…言ってるの?
雅「そんな事、出来る訳ないだろ!?」
翔「聞いて…雅紀…このままだと…二人とも助からない…なら…雅紀だけでも…」
俺は翔ちゃんを強く抱き締めた
雅「翔ちゃん…約束したよね。ずっと側にいるって…だから死ぬ時も一緒だよ…」
翔「雅…紀…なら…黙っていなくなるなよ…ずっと側にいろよ…」
雅「うん…ごめんね…」
もう離れない…ずっと側にいるからね…翔ちゃん…
燃え盛る炎の中、俺は死を覚悟した…その時
「…さ…に…さん…」
微かに声が聞こえた
雅「…え?」
この声…潤?
潤「翔兄さん!雅紀兄さん!」
雅「潤!!」
潤が助けに入って来てくれた
潤「雅紀兄さん!良かった無事で!!」
雅「お前何でここに」
潤「翔兄さんがいなくなって、付近を探していたら工場跡地から火が上がっているのが見えたんだ。だからもしかしてと思って…」
雅「でもどうやってここに?」
潤「こっち!まだ裏手の方は火の回りが遅いから!」
俺は意識がない翔ちゃんを抱えて潤の後に続いた
すると確かに火は回っていたけど、出られない程ではなかった
なんとか無事に外に出られると、安全な場所に連れていかれ、そこには智兄と和も待っていた
智「雅紀!!翔くん!!」
和「良かった無事で!翔兄さんは?」
雅「車呼んで!翔ちゃんを病院に!!」
智「解った!」
智兄が車を手配してくれ、翔ちゃんを病院に運んだ
その後、俺はみっちり和にお説教をくらった…