第51章 この命に代えても…(5)
~翔side~
翔「…ん…」
重い瞼を開けると、そこは何処かの工場跡地のような所だった…
翔「…ここ…は…俺…どうしたんだっけ…」
考えがまとまらない中、思い返していた所
「よう…お目覚めか?」
声がした方に眼を向けると男が俺を見下ろしていた…
ーさっきの白衣を着ていた男…?ー
その時、病室で起こった事を思い出した
翔「…俺をこんな所に連れてきて、どうするつもりだ?」
男「もちろん、あんたの弟を誘き出す餌になってもらうんだよ」
弟?雅紀の事か
翔「今雅紀はいない…お前のせいで行方不明だ」
男「知ってるさ。だからこれを借りたんだよ」
俺の携帯!
男「電話しても出ねぇから、メールしたんだよ。この写真を添付してな」
男は俺に携帯を向けてきた。そこには横たわる俺が写されていた
男「そしたら、すぐ折り返し連絡が入ったよ。もう暫くしたらここに来るだろ」
翔「…何故そこまで雅紀にこだわる?あいつは取り引き現場は目撃したが、それだけだ。あんた達の事は全く解らないんだ」
男「だろうな。でなければとっくに警察の捜査が入ってるだろうからな」
翔「なら…!」
男「思い出されると困るんでな」
思い出されると困る…?あいつ…まだ何か見てたのか?
男「あんたも気の毒にな。あいつに関わったばっかりに巻き添えになって」
そう言いながら男は俺の顎に手を当てて上を向かせた
男「男にしちゃ綺麗な顔してるな…このまま殺すには惜しいな」
そう言って俺の服に手をかけて勢いよく破り、ボタンが飛び散った
翔「やめっ…痛っ!」
身体を無理矢理動かした事で背中に激痛が走った
男「どうだ?俺のものになるなら命は助けてやるぞ?」
翔「…ふざけんな…誰が…」
雅紀…雅紀…