第32章 偽装親子(5)
~和也side~
潤「じゃあ、雅紀兄さんの方は空振りだったって事なんだ」
辰己さんの死後、俺と潤くんは大野の家に戻ってきて数日がたった
雅「うん…駅員さんとかに聞いたけど、香住さんらしき人は見てないってさ」
翔「今智くんも確認してるけど、あっちの方がちょっと大変みたい…今日も朝から…」
そんな話をしているところに…
智「見つけたぞ!香住さん情報!!」
和「本当ですか!?」
智兄さんが駆け込んできた
潤「何処に行ったの!?」
智「T県だよ。小さい駅だから駅員が覚えてた」
T県?そんな遠くまで…
翔「で?香住さんの足取りは?」
智「それが…駅を出てすぐに車がきて、それに乗って行ったらしいんだが、何処にいったかまでは解らなかった…」
車って…
潤「それ…ヤバくない?」
翔「・・・」
雅「え?ヤバイって…」
翔「なんの疑いもなく車に乗ったって事は、その車の運転手は顔見知りの可能性が高いって事だよ」
雅「T県に知り合いがいたって事?」
ただの友達ならいいんだけど…
和「それなら恐らく柏木さんがご存知のハズです」
翔「気になるのは柏木さんが依頼に来た時、香住さんが家出だと言った事…」
智「そういえば翔くん、その事気にしてたな…」
翔「話を聞く限り、家出をするような子じゃないと思うのに、柏木さんは家出だと言っていた…つまり、家出をしてもおかしくない状況に置かれていた…って事じゃないかな…?」
潤「…俺達が見た限りでは、翔兄さんの考えは当たってると思う…」
雅「じゃあもしかして、その車の運転手って…」
翔「…親族の誰か…」
考えたくなかった…間違いであって欲しい…
この時まで俺はそう思っていた…