第29章 偽装親子(3)
翔「そうか…今回の事、遺産相続に関わっているとなると、怪しいのはやっぱりその叔父と叔母だな…」
潤「あからさまに態度に出てるよな」
和「本人達は隠してるつもりみたいですけどね」
翔「とにかく、この前も言ったけど危ない事はするなよ」
そう言いながら、翔兄さんは持っていた資料を片付けて帰り仕度をした
潤「もう帰るの?」
翔「一応、医師として診察にきただけだからな…あんまり長居すると怪しまれるだろ」
和「気をつけて帰って下さい」
翔「和也と潤も。くれぐれも気を付けろよ」
そう言って翔兄さんは部屋を出て行った
俺達は窓際に移動して外を見ていた
和「香住さん…電車に乗って何処に行ったんでしょうか…」
潤「…もしかして、お父さんに関係している事かもしれないな」
和「潤くんもそう思います?」
お父さん想いの香住さんだからきっと…
潤「あれ?」
窓の外を見ていた潤くんが何かに気づいたようだった
和「どうしました?潤くん」
潤「翔兄さん…通ったか?」
…そういえば…
和「…見てません」
潤「ちょっと俺、様子を見てくる」
潤くんが様子を見に部屋を出ようとした時
<コンコン>
部屋のドアがノックされた
潤「はい」
ドアを開けると、そこには幹矢さんがいた
潤「…何か?」
幹「いやね。ちょっと気を付けたほうが良いと思って、忠告にきたんだ」
潤「忠告?」
幹「そ。新なんだけど、あいつ変な趣味があってさ。綺麗なやつを見ると、たとえそれが男でも自分の物にしようとするんだ。さっきも、あんたの兄貴だっけ?なめ回すように見てたぜ」
潤「な…!?」
それを聞いて、俺は潤くんにすぐ翔兄さんの所に行くように背中を押した
潤「すぐ戻る!!」
そう言って潤くんは部屋を飛び出した