第27章 偽装親子(1)
雅「気になる事って?」
翔「柏木さんの話だと、お嬢さんは父親の看病をずっとしてたんだろ?それだけ献身的にやってた人が、病床の父親をおいて家出するか?」
智「看病が嫌になったとか?」
翔「それなら入院させるなり、人を雇ってでも看病をやってもらえればすむ事だろ?それに、あの柏木さん自身も…」
和「嘘を言っているとか?」
翔「いや、嘘は言ってない…と思う。それが逆に引っ掛かるんだけど…」
何だ?それは…意味がわかんねー…
翔「柏木さんの話し方からして、多分松山家に奉公して長いんだろう…お嬢さんに一度もあった事のない俺ですら家出するような子じゃないって思うのに、何故あの人がその事に疑問を持たないのかが気になるんだ」
そう言われれば、最初から家出と決め付けてたような…
潤「それってもしかして、あの人はお嬢さんの失踪理由を知ってるって事?」
翔「多分、心当たりがあるのかもしれない…もしかすると、事件性があるのかも…」
事件性!?そんな所に和也を一人で行かせる訳には!
和「わかりました。では、その事も踏まえて調査しますね」
・・・は?
翔「…お前…人の話聞いてたのか?」
和「もちろん聞いてましたよ?だからその辺りの事も調べてみますので」
雅「駄目だよ!和一人では…」
俺らが和也を止めようとしたその時…
潤「俺も行く!」
和「え?」
潤が止めるどころか、自分も行くと言い出した
翔「潤、お前…」
和「でも潤くん、お店は…」
潤「和のボディーガードとして一緒に行く!お店は暫く休業させてもらうけど…でなきゃ和も行かせない!!」
そりゃ…潤が一緒に行くなら安心だけど…
翔「…わかったよ」
潤「翔兄さん…」
翔「ただし、危険な事は絶対するな!ヤバイと思ったら依頼に関係なくすぐ戻ってこい、いいな!!」
潤「うん、わかった」
一抹の不安を感じながらも、和也と潤は翌朝柏木さんの迎えで屋敷に行った…