第17章 パパと呼ばないで!?(4)
~智side~
俺は店から飛び出したさくらちゃんを探していた
智「…まだこの辺に慣れてないからそんな遠くまでは行ってないと思うけどな…」
さくらちゃんが行きそうな場所を探して歩いていたら、ふと立ち寄った公園のベンチにさくらちゃんを見つけた
智「こんな所にいたのか…さっ、帰ろっか」
さ「…帰りたくない…」
とりあえず、話をしようとさくらちゃんの隣に腰掛けた
智「皆心配してるぞ」
さ「…翔お兄ちゃんはしてないよ…きっとまだ怒ってるもん」
智「んな事ねーよ!何?翔くん怖かったか?」
さくらちゃんは頭を縦に振った
智「さくらは母ちゃんに怒られた事ないのか?」
さ「…ママ、お仕事が忙しくてあまりお家に居なかったから」
そっか…そういえば前に潤がそんな事言ってたな…
智「別に翔くんはさくらの事が嫌いで怒った訳じゃないぞ。さくらが好きだから怒ったんだ」
さ「パパ…難しいよ。何で好きなのに怒るの?」
智「んー…例えばさくらが家で何か悪い事したとする…何かやってない?やったらダメって言われたけどやっちゃった事…」
さ「えーっと…あ、お家じゃないけど、ママと公園に遊びに行く時道路に飛び出ちゃダメって言われたけど、走って行っちゃった事はある」
智「その時怒られただろ」
さ「ダメでしょ!って言われた…」
智「何で怒ったか解るか?母ちゃんはさくらが大好きだから、さくらが間違ってるって事を教えたんだ。怒られたらその事を覚えてるだろ?」
さ「…翔お兄ちゃんも?」
智「そうだよ」
こんな俺の言葉でもさくらちゃんはちゃんと解ってくれた様だった
智「んじゃ、さくらちゃん帰るか」
さ「…パパ、さっきは『さくら』って言ってくれたのに…」
智「え?そだっけ?」
さ「うん…さくら、パパには『さくら』って言って欲しい…」
やっぱ元気にしてる様でも子供だよな…
きっと父親だと思っている俺から『ちゃん』づけで呼ばれるのは、娘と思われてないようで寂しかったんだろうな…
智「よし!さくら帰るぞ!」
さ「うん!」
俺達は本当の親子の様に手を繋いで家路についた