第8章 セバス夢:残り香
「はい?どうしましたか、名無しお嬢様」
『あ、セバスチャンさん!やっと見つけました!』
セバスチャンの顔を見るなり、名無しの顔がパァっと笑顔になる。
小走りでセバスチャンの元へ向かう。
「やっと?私を探していたのですか?」
『はい!』
名無しはここに至るまでの経緯を話した。
「そうでしたか。それは、ご足労をお掛けしました」
話を聞き終え、セバスチャンはクスリと微笑むと胸に手を当て頭を下げた。
「ところで、私に何用でお探しに?」
『あっ!そうでした!分からない所があったので教えていただきたくて・・・』
そう言って名無しは手にしていた本を自分の顔の前に出した。
必然と上目遣いでセバスチャンを見る形になる。
「(このお嬢様はワザとやっているのでしょうか)では、此方へどうぞ」
『はい!』
セバスチャンにエスコートされ、備えつけのイスに案内される。
しかし、先にイスに腰掛けたのはセバスチャン。
名無しが不思議に思っていると、さぁとセバスチャンは自分の膝をポンポンと叩いた。
『えっ!?////////』
(せ、セバスチャンさんの膝に座るの?!////////)
顔を赤くしながら、名無しが戸惑っているとセバスチャンの手が伸びて来て名無しの手を引いた。
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