第8章 セバス夢:残り香
『セバスチャンさん?・・・あ、えっ、キャァ!?』
リネン室の扉を開けると、真っ白な塊と正面衝突してしまい、名無しはそのまま尻餅をついた。
「どわわわわ!?名無しお嬢様、し、失礼しましただ!!?」
名無しに衝突した白い塊は、メイリンが抱えていたシーツの山。
メイリンは慌ててシーツを放り出すと、名無しを立ち上がらせた。
『あ、ありがとうございます』
「いえ、本当にすみませんでしただ」
そう言いながら名無しのスカートの埃をはらうメイリン。
『あの、セバスチャンさんを探しているのですが』
「セバスチャンさんなら、ついさっき書斎に向かっただよ?』
『・・・はぁ。分かりました。ありがとうございます。』
軽いため息をつき、放り出されたシーツをカゴに入れる。
「セバスチャンさんをずっと探してだか?」
『はい。行く先々で行き違いになっているみたいで・・・』
肩を落とす名無しにメイリンは、同情した。
2人でカゴにシーツを戻し終え、今日何度目かのお辞儀をメイリンにすると名無しは書斎に向かった。
(どうせまたいないんだろうなぁ・・・。そうしたら探すの諦めよう)
『はぁ・・・』
書斎の扉の前でまたもため息をつき、ドアノブを回した。
『セバスチャンさん?』
名前を読んだものの反応はない。
やっぱりか、とドアを閉めようとしたその時、奥の本棚からひょこっと人影が頭を覗かせた。
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