第4章 紳士な怪盗
それから無言で食べ終わり、外に出ると一層風が冷たく感じた。
手を繋いでイルミネーションの光で輝くツリーを見上げる。
「そろそろ行こうか」
『うん…』
人混みで離れてしまわないように、手を繋いだまま、ゲートへ向かって歩きだした。
離れたくない…もっと一緒に居たい…帰りたくない…。
『あれ?』
いつの間にか繋いでいたはずの手がほどかれているのに気がついた。
『エド?…エドガー!!』
名前を呼んで辺りを見渡しても、人の波が押し寄せて見つけられない。
仕方なく、ショーウィンドウに飾られたぬいぐるみを見つめていたら、頬を滴が伝った。
『やだなぁ…泣くなよ、自分…』
ポロポロ流れる涙を拭っていたら、後ろからギュッと抱き締められた。
ビックリして振り返れば、エドガーの綺麗な顔。
「すまない、手を離してしまった」
『ううん、大丈夫だよ』
顔を埋められた肩に、長い髪が触れてくすぐったい。
「一緒にイギリスに行こう」
『え…?』
「向こうで一緒に暮らすんだ。もちろん、夢も諦めないでいい」
突然の事に私は目を見開いた。
ぐるっと体の向きを変えられ、まっすぐ見つめられた。
『で、でもっ!』
エドガーは私の言葉を遮るかのように、唇に人指し指を当ててきた。