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黒執事:短編

第4章 紳士な怪盗



二人で乗り物の待ち列に並び、他愛の無い話をする。

『そう言えば、もう卒業したんだよね?』
「あぁ、無事にね。名無しに来て欲しかったよ」
『ごめんなさい…。』
「君には君の生活があるんだから、気にしないでいいさ。ただ…」
『ただ?』
「卒業パーティで君のドレス姿が見たかった…と思ったのさ」

そう言って私の髪を一束手に取り口づけた。

「でも、君が来たら来たで注目の的だからね。ある意味良かったかな?」
『?』
「分からないかい?可愛い子ちゃんは、俺だけが見れればいいのさ」
『相変わらずなんだから…///////』

恥ずかしくてうつ向くと、エドガーの手が腰に回され引き寄せられた。

いくつか乗り物を回り日が暮れてきたので、二人でレストランに入った。
選んだのは和食が食べられるレストラン。
普段食べない料理にエドガーは興味津々みたい。

食事を済ませ、食後のデザートを食べているときだった。
エドガーが決心したように、口を開いた。

「…名無し」
『はい、何ですか?』
「俺は、明日の朝一でイギリスに帰らなくてはいけない」
『……え……』

思考が停止する。
スプーンを持つ手が震えた。
1年ぶりに会えたのに…1日しか会えないなんて……
でも、エドガーの家はイギリスでは有名な家系。
仕方がない…

『…仕方ないね。エド、向こうで仕事もあるし』
「……名無し」
『私は大丈夫!電話も手紙も出来るんだし!』

精一杯の笑顔を作ったつもりだけど、ちゃんと笑えただろうか…。
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