第8章 Terminar
ー潤sideー
雅紀『今夜逢いたい』
雅紀から連絡が来たのは兄さんと実家へ帰省してから1週間後だった。
大兄さんとは、あれから変わりなく兄弟として接してる。
俺の問いに答えを出せなかった兄さん。
俯いたまま黙ってしまった。
無理矢理にでも腕を引き、押し倒せば…貴方は心を開いてくれるんだろうか。
一緒に…堕ちてくれたんだろうか。
血の繋がった兄貴への燻った想いを抱えながら…俺は兄貴の親友の心を弄んでる。
雅紀「潤!」
校門を出た所で声を掛けられる。
スーツ姿の雅紀がそこに立っていた。
「どうしたの」
友達に別れを告げ、雅紀に駆け寄る。
雅紀「潤に早く逢いたくて仕事早く終わらせた」
「そう、なんだ」
雅紀「あれ以来…だから」
「………」
雅紀「行こ?部屋は取ってあるから」
「え?あ、ちょっ…」
雅紀に手を掴まれ、歩き出す。
そのまま恋人繋ぎになり、固定される。
「雅紀…ここ外だから…」
雅紀「俺は構わないよ。潤の事愛してるから」
「………」
あの人がその言葉を言ってくれれば…どんなに嬉しいのだろう。
何も返せないまま、俺は雅紀に目的の場所まで連れて行かれた。