第6章 não deixe
ー潤sideー
大学のキャンパスを歩いてると、行き交う女達が時々チラチラと視線を向ける。
俺ってそんなに目立つのか。
………この濃い顔のせいだな。
「おーい、潤!」
振り返ると、久し振りに見る親友の顔。
「斗真」
斗真「来てたのか」
「あぁ。帰って来てる間に教授に挨拶しとかねぇとさ」
斗真「俺はいいのかよ」
グイッと無理矢理肩を組まれ、頭をグリグリされる。
「痛ぇって。悪かったよ」
斗真「当たり前だ。『帰る』ってメールだけで後は全く連絡もしてこないんだからさぁ…」
「ちょっとバタバタしてたんだよ。葬式の後色々あってな」
斗真「ふーん。まぁ仕方ないな。今日夜付き合うなら許してやるよ」
「分かった分かった。奢るから」
斗真「いえーい!」
そのまま斗真と教授の部屋へと続く廊下を歩いていると、向こうからよく知る顔がこちらに向かってくる。
「真央よかった。ここに居た」
真央「潤くん。来てたの?」
「ああ。教授に会いに。それに…お前にも逢いたかったからさ」
そう言うと…真央は嬉しそうに笑った。
斗真「じゃあまた夜な潤。旬にも連絡しとくから真央ちゃんと来いよ。じゃあな真央ちゃん」
真央「またね」
気を利かせて去っていく斗真に真央が笑顔で手を振った。
真央「皆で飲むの?」
斗真が去った後、真央の視線が俺に移る。
「お前も一緒にな」
顔を寄せ、そっと口付けると頬が赤く染まる。
「………時間ある?」
真央「え?教授は?」
「今度でいい。おいで」
真央の小さな手を握り、俺はその場を去って行った。