第3章 convivência
潤の視線の先にある物は…机に飾ったコルクボード。
仕事のメモ書きやスケジュール日程、忘れちゃいけないものをよく画ビョウで貼っていた。
潤が見てるのは…その中心にある写真だろう。
俺は慌ててコルクボードを倒した。
潤「………別れた彼氏?」
「………」
潤「そうなんだ」
「いいだろ別に」
潤「結構一途なんだね。捨てられてもまだその写真飾ってるとか」
「忘れてただけだ」
潤「1番目立つとこに貼ってるくせに」
「いいだろ別に。ほら、出るぞ」
部屋を出ると潤が仕方なそうに着いて来る。
「好きに過ごしてくれて構わないけど…夜遅くなったり…どっかに泊まる時は連絡して」
潤「俺もう22なんだけど」
「分かってる。でも父さんに頼まれてる以上兄貴としてそこはちゃんとしてたい。それに家主は俺だから」
潤「20年会ってなかったのに…いきなり兄貴面?」
「何だよ。突っ掛かるなよ」
さっきまでの温厚な態度とは売って変わり、きつい視線を投げ掛けられる。
潤「別に突っ掛かってない」
「兄貴面するのは当たり前だろ?弟なんだから…」
潤「その弟にあんあん言わされたのはどこの誰だよ」
「潤!」
考える前に…俺は潤を思いきり殴ってしまった。
潤「………ってぇな」
ギロリ、と潤の鋭い瞳が俺を見据えた。