第2章 reunião
車内はシンと静まり返り、気まずい雰囲気が流れたまま。
運転席の母さんは…ひきつった顔で運転している。
母「翔。何考えてるの」
「何が」
母「何がじゃないでしょ」
「関係ないだろ俺が誰と住もうと」
母「………」
「タクシーで帰るんだったな…」
そう言うとキキィィッと音を立てて母さんは車を路肩に止める。
カチカチとハザードランプの音がする…。
今度の日曜日に潤がうちに越して来る事で話は付いた。
母さんは…酷く怒っていた。
母「松本の人間とは関わりたくないって散々言って来たのに…何で分からないの!」
バン!と母さんがハンドルを殴った。
母「もう他人なのよ!?」
「それは母さんだけだろ。俺には血の繋がった弟だし…父さんだ。母さんだって…潤は息子だろ?何でほとんど話さないんだよ」
母「貴方には関係ないわ」
「はぁ…まただよ」
溜め息を付きながら髪を掻き上げる。
「いつもいつも…母さんは理由なんてなく力で押さえつける。こうしなさいああしなさい。これは駄目あれは駄目。松本の人間とは関わるな。うんざりだよ…」
母「子供は知らなくていい事よ」
「もう24だ。どうしたいかは自分が決める。だから家を出たんだ。母さんが俺をそうさせたから」
母「………」
「………何で引き取ったんだよ。俺を…」
母「翔!」
頬に飛ぶ衝撃。
頬を押さえながら母さんと見つめ合った。
母「………自分がした事…考えるのね…」
「………そうかよ。もういい」
俺はそのまま車を降りた。
母「翔!」
俺を呼ぶ母を無視して…夜の道を歩き始めた。