第1章 祇園健次と年上の彼女
「凉子先輩!!」
祇園は走って校門までやってきた。
「祇園くん、おつかれさま。」
街頭が小さく光る下で待っていた凉子は祇園がやって来ると嬉しそうににこりと微笑んだ。
「聞いてくれよ!俺来週から先輩たちと一緒に基礎練はいれっかも!」
先ほどの約束を嬉しそうに話す祇園。
だから今週めっちゃパス練がんばるんだぜ!と鼻息を荒くする。
凉子は優しい瞳でその話を聞いている。
歩きながら部活であったあれやこれを話ている祇園を見て
「祇園くんは本当にラグビーが好きなんだね」
「おう!まだあんまりルールとかはわかんねーけど、みんなでスポーツやんのはおもしれー!」
もう暗くなった帰り道なのに祇園の笑顔はすごく明るく感じた。
汗をかいて少ししっとりした髪も興奮しているのか少し赤くなった顔もはっきり見える様だった。
「私も。頑張ってる祇園くんの姿見てるの好きよ。」
負けないくらいの笑顔で凉子も微笑む。
その笑顔を見た祇園はだっと走り出し凉子の方を振り返る。
「俺ぜってー花園行く!凉子先輩に花園で活躍してる姿応援してもらいてー!」
凉子は少しあっけにとられた様になったが、すぐに笑って小走りで祇園に駆け寄った。
「じゃぁまずはパス練頑張らないとね」
「おっす!」
ふたりは帰路につく。
後ろからデバガメする3年生連中に気づくこともなく。