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フレンチの料理人のお気に入り【四宮】

第3章 極星寮


〜創真side〜



それにしても。



「いやーしかし寮でも田所と一緒とはなー」


そう、授業でペアだった田所と同じ寮だったのだ。
……実のところ、さっき風呂で出くわしたから知ってはいたが。



「そだね……ってことは創真くん、もしかして入寮腕試しを一回で合格したの!?」

「ああ、何とかなってよかったわ」

「すごいよ……!一発クリアした人、ほとんどいないはずなのに」

「お前はどうだったんだ?」



俺は悪気なく聞いた。


すると田所がいきなりずぅんとした表情になった。


……もしかしたら聞かなかった方が良かったのかもしれない。








「はい幸平くん」


そう言って俺のそばにやって来たのは榊。

紙コップを渡されて、中に飲み物を注いでもらった。



(ん?この濁り、手書きのラベルが貼られた一升瓶……)



「お米から作ったただのジュースよ、うふふ」


榊が怪しげな笑みを浮かべている。


「へぇ」


俺はそう返事することしかできなかった。





「つーかこんな夜中にこんな騒いで大丈夫なの?」

「大丈夫よ、寮の周りは森だもの」

「で、でもよ……寮母の婆さんが」


俺がそこまで言った時。




「ほら、あんたたち!」


(げっ、やっぱり!」



だがそう思ったのもつかの間。



「ぶり大根があるから、誰か取りにおいで!」



婆さんの言葉は予想外だった。



「へい、やったー!」

「ババア、愛してる!」


喧嘩二人組がぶり大根を取りに行った。




「っていいのかよ!」





「ふみ緒さんの十傑自慢が始まる前に帰ってくんのよー」

吉野がコップを手にしたままそう言う。




(十傑……?)
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