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フレンチの料理人のお気に入り【四宮】

第3章 極星寮


〜創真side〜



「いやぁ、いいお湯でした」



入寮腕試しは無事合格した。

余り物だけでやったが、やれば何とかなるもんだな。



風呂にも入って、ようやくゆっくりできる。

……まあ風呂でもちょっとしたアクシデントがあったけどな。






「…………」


ゆっくりと部屋の中を見回す。




(そっか。俺、15年住んだあの家を初めて離れたんだ……)


今まで定食屋の喧騒の中で育ってきた自分にとってここは随分と静かな環境だ。



ベッドに寝転がって少し物思いにふけっていると。








ゴト



「やぁ、編入生くん」



突如天井から誰かが顔を出してきた。




「なっ……」


俺が驚きのあまり、口をパクパクさせていると、そのひとは、



「おいで、歓迎会だよ」




と言った。




(歓迎会……?)











「だからぁ、僕は筆記試験の勉強で忙しいんだ!宴会ならどこぞの部屋で好きにやればいい!なぜいつも僕の部屋でやるんだ君たちは!!」

「仕方ないじゃん、丸井の部屋が一番広いんだもん」

「勝手にベッドに座るな!」

「いつ来ても綺麗にしてるしね」

「今やっと片付けたんだよ!」

「さっきまで本が散らばってたしな」

「お前らが暴れたからだろ!?」

「つーかもっと椅子用意しとけや」

「するか!」



(賑やかだなー)


文句をぶーたれている丸メガネの奴は、丸井善二。
205号室の住人。

お団子ヘアの女子は、吉野悠姫。
116号室の住人。

姐さんと呼びたくなるような人は、榊涼子。
112号室。

よく喧嘩してそうな二人は、佐藤昭二と青木大吾だ。
それぞれ107号室と211号室。

目が髪の毛で隠れて見えない奴は、伊武崎峻。
208号室。



個性的な奴ばっかりだ。
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