第11章 〜11〜
「ごめんね、なんか無理矢理呼んじゃって」
「そんな事ございません。ですが、私は女中です。様と親しくするにも限度が……」
「女中だからとか関係ないよ。わたしは優鞠と友達みたいに仲良くなりたいってずっと思ってたよ?」
「え……」
優鞠はポカンとしながら私を見た。
「だめ?……私じゃ……嫌かな?」
「……様が嫌だとかではありません。それに女中だから様と仲良くしてはいけないという決まりもありません。」
「なら……」
私が顔を綻ばせたのを見て、優鞠は苦い顔をした。
私は訳が分からず首をかしげた。
「……私の話を聞いてくださいますか」
「……うん。勿論。何でも聞くよ?」
そう言うと優鞠は悲しそうに微笑みながら私を見た。
そしてゆっくりと話始めた。
「女中は……普通、農村出身の女性がなることが主なんです。」
「そうなんだ……」
「ええ、ですが、私は農村の出身ではありません。」
「そうなの?」
「私の父は……武士でした。」
「武士……?」
「織田家の傘下の大名でした。」
「じゃあ、優鞠はお姫様だったってこと?」
「小さい家でしたが、一般的にはそういうことになりますね」
優鞠は小さく笑った。
「ですが、とある戦で父が戦死したという報告を受けました。」
「えっ……」
「それを聞いた母は、徐々に精神を病んである日……自分で命を立ちました。」
「そんな……」
「その時私は天涯孤独になりました。」
「……(私と同じだ……)」
「そこからは毎日が地獄でした。両親を亡くした私は1人で生きていかなければならなかった。でもまだ子供だったので、店や農家に働かせてほしいと言っても断られて時には殴られたり乱暴されたこともありました。」
「そんな……酷い……」
「その地域は戦後という事も重なって、誰もが生きるために無我夢中だったんです。」
「……(私より壮絶な人生……時代が違うから?)」
「そして、私はある大名の元へたどり着きました。そこで女中として働かせて貰えることになったんですが……」
優鞠は今日1番に悲しい顔を見せた。