第11章 〜11〜
翌日、私はふと自然に目が覚めた。
「ん……」
寝起きの回らない頭で、戦国時代に居ることを思い出した。
(ああ、そうだ、安土城だ……)
今は何時なのかと、障子を開き外を見ると太陽はほぼ頭上に位置していた。
(ってことは、もう昼かな?)
そろそろ優鞠が起こしに来るはずだと思い出し、布団を畳み、押し入れに片付けていると優鞠が部屋に来た。
「様、おはようございます」
「あ、おはよう」
「……様、そんなこと私がやりますのでお座り下さい」
優鞠は、少し怒ったように私に言った。
「私に出来ることは私がやるから。いくら専属の女中だからって、何でもかんでも優鞠に任せるつもりは無いよ?」
「ですが、それが私の仕事なので」
「それは分かってるよ」
私は苦笑いしながら優鞠に言った。
「ねぇ、顔を洗いたいんだけど……」
「……はい。ご案内します。」
優鞠はそう言うと私を洗面場に連れてきてくれた。
私は冷たい水で顔を洗い、手渡された手ぬぐいで顔を拭く。
「昼餉までは、あと少しお時間がございますが、どうなされますか?」
「(どうするって言われてもなぁ……)あ、じゃあ部屋にいるよ」
「わかりました。昼餉が出来上がりましたら呼びに行きますのでお待ちください。」
「ねぇ、優鞠」
私は間髪入れずに優鞠に言った。
「貴方と話がしたいの。」
「話……ですか?」
「そう。これから一緒に暮らしていくんだし、貴方といろんな話をしたいの」
「ですが……」
優鞠は渋そうな顔を見せる。
私は困らせるつもりは無かったので言葉を続ける。
「もし、お仕事が他にあるなら無理にとは言わないけど……」
「いえ、様のお世話を何より優先しろと言われているので……」
「じゃあ、一緒に部屋でお話しよう?」
「……はい。」
半ば無理矢理な形で優鞠と部屋に戻り、机に腰掛けると優鞠がお茶を入れてくれた。