第11章 〜11〜
政宗に自部屋まで運ばれた私は、今にも寝そうで目を開けているのがやっとだった。
「……ん……」
眠そうに身体を捩った私を見て、政宗は静かに笑った。
(本当にこいつは抱き心地が良いな。このまま攫ってやりたい位だ)
そう思いながら、政宗はゆっくりを布団に降ろした。
「優鞠、あとは頼んだ」
「はい。お任せ下さい」
そう政宗が頼むと、優鞠は寝巻きを取りに部屋から消えた。
それを見届けると政宗は私の顔をじっと見た。
「そのまま寝るなよ?せっかくの着物が皺になる。」
「あ……そうだね……」
眠い目を擦りながら私は起き上がり帯を外そうとするが、外し方が分からず政宗を見てポカンとする。
すると政宗がくつくつと笑った。
「ふっ、なんだ?脱がして欲しいのか?」
「ち、違うよ……帯の外し方わからないんだもん……」
政宗の言葉にドキドキしながらもすぐ否定した。
だが政宗に真っ直ぐ見つめられて、目が離せない自分がいた。
(やばい……この状況……やばい)
女としての貞操の危機を感じつつ、それが嫌ではない自分もいて驚いたが、酔っているだけだと自分に何度も言い聞かせた。
「すぐ優鞠が戻ってくる。手伝って貰え」
「……うん。(……早く戻ってきて優鞠!)」
「そんな残念な顔をするな」
そう言うと正宗は私の頭に軽く口付けをした。
「!?」
驚いて顔を見上げると政宗は、優しく微笑んで言った。
「おやすみ。ゆっくり休めよ」
そう言うと、政宗は静かに部屋を出ていった。
(なんだったの……今の……ドキドキした……)
私はこの時代の照明が、蝋燭のゆらゆらとした灯だけで本当に良かったと心から思った。
きっと今私の顔は真っ赤だと自分でもわかるほどだったので、政宗に見られるのがものすごい恥ずかしかった。
(慣れてないんだよ……ああいう風に……優しくされるの……照れる……)