第47章 ~47~
「秀吉様!城下にいらっしゃるなんて久々じゃない!」
「今日のご予定は?まだなら私と一緒に過ごさない?」
女達は嬉しそうに俺に駆け寄ってくる。
「ちょっと待て、お前ら落ち着け」
俺が制する声も届いてないのか、女達はきゃあきゃあと盛り上がる。
女に言い寄られるのは悪い気はしない。
でも、こう囲まれると通行の邪魔だ。
移動しようにも話が通らず困り始めた時、輪の外側で人が倒れる音がした。
「ん?」
女達を優しく掻き分けると、人が座り込んでいた。
どうやら、俺に会いに来た女の1人ぶつかってしまったらしい。
(まったく騒ぎすぎだ……)
少し呆れながら、座り込んで俯いている女に手を差し出した。
「悪いな、怪我はないか?」
俺がそう言って差し伸べた手に頼ること無く女は立ち上がった。
「大丈夫です。ご心配なく。」
立ち上がると、女と目が合った。
改めて謝ろうとして顔をちゃんと見た瞬間、一瞬にして思考が固まった。
「…………(嘘だろ……なんで……)」
「……それじゃ」
俺が固まっているうちに、女は立ち去ってしまった。
「あ、おい!……ん?」
女が座り込んでいた足元には、瓶詰めの金平糖が落ちていた。
それを拾い上げ、咄嗟に懐にしまった。