第44章 〜44〜番外編③
天守へ向かう光秀さんの後を歩きながら、ふと考える。
(……最初から知ってたなら、そう教えておいてくれれば良かったのに……)
東雲さんが同性愛者な事に偏見はないが、あいにく私はそうじゃない。
最初にそうだと教えてくれていれば、多分こうはならなかったはずだ。
(まあ……1人で部屋に行ったのは完璧に私が悪いけど……それ以外って全部不可抗力じゃない?城下で会ったのもたまたまだし……)
光秀さんに聞こえないように小さく溜息をついた。
(……はぁ……光秀さんはもう怒ってない……ってか最早楽しんでる……秀吉さんすごい怒りそう……嫌だなぁ……)
昨日の夜に、光秀さんに遊ばれないように、秀吉さんに怒られないように気を付けようと思った矢先だ。
自分の学習能力の低さにがっくりした。
(……政宗も怒るかな……出来れば笑い飛ばしてもらえると有難いんだけど……)
そこでふと思う。
(……女の人との口付けは浮気に入るのかな………怒りそう……)
さっきより深い溜息が零れた所で天守に着いた。
襖に手をかけながら、光秀さんはニヤニヤとしながら私を見た。
「、心の準備はいいか?」
「……はい。(……楽しそう……ちょっと腹立つ……)」
私が小声で答えると、光秀さんは襖を開けた。
「失礼致します」
「失礼します……」
「ああ、終わったか」
信長様はニヤリと私を見て言った。
(……少なくとも信長様は怒ってなさそう……)
「座れ」
「はっ」
光秀さんが座った隣に、私も正座して信長様を見た。