第44章 〜44〜番外編③
客間の廊下を離れ、暫く歩いた所でやっと腕を離してくれた。
「……光秀さん……」
「なんだ」
「東雲さんは……同性愛者だったんですね……」
「愚かにも今更気がついたか」
「いや……城下で東雲さんと過ごした時から……少しおかしいなとは思ってたんですけど……」
「お前のお人好し精神には心底呆れたぞ」
「え……?」
「自分を好いてると言った女と、友達になろうとはな」
「……だって、東雲さん自体が嫌な訳じゃないですから……」
「口付けられても尚か?」
「あ、あれは……確かに吃驚しましたけど……」
「くくっ、まさか目の前でお前が女と口付けるのを見せ付けられるとはな」
「……見せ付けてません。不可抗力です……でも……」
「ん?」
「来てくれてありがとうございました……助かりました」
「そうだな、俺が行かなければ今頃お前は、あの女に手篭めにされてただろうな」
「……ですね……」
「何故おかしいと思いながら1人で部屋に行った?相手の思う壺だと思わなかったのか」
「文を貰ったんです……。誰にも言わずに部屋に来てほしいって。………確かに危ないかなって少しは思いましたけど、でも……まさか襲われるとは思わなかったし……それに」
「?」
「……私がもし行かなかったら、東雲さんが怒ってもう二度と城に花魁を寄越さないって言ったら、皆の楽しみを奪っちゃうと思って……」
「お優しい事だな、お前1人の身体でこの城の男達の快楽を守ると」
「そんな……でも……そう思ったんです。」
「まったく……」
光秀さんは私の頭に手を乗せるとクシャッと撫ぜた。
「……?」
「お前のお人好しは救いようがないな。まあ、あの程度で済んで良かった」
「光秀さん……」
私が突然向けられた優しさに少しだけ感動していると、光秀さんはニヤリと笑って言った。