第44章 〜44〜番外編③
「出るぞ、信長様がお待ちだ」
「……はい……(お説教は逃れられないな……でも……)」
私は立ち上がって光秀さんを見た。
「光秀さん、お願いです。少しだけ時間をください。」
「……すぐ終わらせろ。」
「はい!」
光秀さんは私の考えが読めたのか、呆れながらも許してくれた。
私は恐る恐る近づいて、東雲さんの前に座った。
東雲さんは悲しそうな目で私を見つめた。
「………」
「東雲さん。あの……私を好きになってくれてありがとうございます……。」
「……」
「……私はもう大事な人が居るので……東雲さんの気持ちには答えてあげることが出来ません……」
「……もうわかったわ……」
「…………」
「……早く……出て行って頂戴」
「……あの……」
「…………?」
「……恋仲は無理ですけど……お友達じゃ駄目ですか……?」
私がそう言うと、東雲さんは少し驚いた顔をして、すぐ嬉しそうに微笑んだ。
「…………やっぱり貴方はいい子ね……」
「まったく……」
光秀さんは心底呆れたという声で呟いて、私に近づいて立ち上がらせようとした。
それに気がついた東雲さんが咄嗟に私の頬を両手で掴んで、音を立てて唇が合わさった。
「!!!!!!」
「ふふ、また会いましょう」
「……はぁ……」
光秀さんはため息をついて、未だに固まったままの私の腕を引っ張って無理やり立たせた。
そのまま腕を引かれて部屋を出る私に、東雲さんは手を振りながら微笑んだ。
「……ほんとにいい子ね……。益々欲しくなるわ……」