第44章 〜44〜番外編③
朝餉を済ませて宿の外に出ると、昨日と同じ様な清々しい晴天だった。
「天気いいな」
「そうだね、気持ちいい」
「ああ」
自然に手を繋いで歩き出す。
「今日、何かしたいことあるか?」
「うーん、そうだなぁ……」
(城下は昨日歩いたし……でも天気良いのに御殿に籠るのもなぁ……あ、そうだ)
「馬に乗りたい!」
「馬?」
「うん。天気良いし、少しだけ遠出しようよ」
「そうだな、じゃあ1度城へ戻るか」
「うん」
城へ戻って、馬小屋へと向かった。
政宗は自分の馬を引き寄せて跨ると、私へと腕を差し出してくれる。
その手を取ると、片腕で軽々と抱き上げられ政宗の前に座る。
「さて、行くか」
「うん」
政宗が足で馬のお腹を叩くと、馬が軽快に走り出し、私達は城を後にした。
その頃、客間の開け離れた窓から1人の女が城から出ていく2人を見送っていた。
「へぇ……明智じゃなくて、伊達だったのね……」
紫煙を燻らせ、東雲はぽつりと呟く。
「……やっぱり欲しい、あの子……」
静かに笑うと、煙管を置いて変わりに筆を取った。