第44章 〜44〜番外編③
翌朝目が冷めると、見慣れない天井が目に入って寝起きの回らない頭で考えた。
「ん……(あ、そうだ……宿に泊まったんだ……)」
横を向くと、政宗と目が合った。
「…………おはよ。起きてたなら起こしてよ……」
「お前の寝顔見てる時間、好きなんだ」
「……(照れる……)」
恥ずかしくなって布団を口元まで引き上げる。
「そう照れるな。安心しきって寝てるお前見てると、なんか幸せなんだ」
「……へぇ……」
2人で目覚めた朝には、歯痒くなるような言葉をかけられるのが毎回のお決まりの様になってきた。
(幸せだけど……恥ずかしすぎる……)
周りに人が居ても政宗は、特に気にせずに私に触れたり言葉をかけて私を照れさせて困らせる。
でも、2人きりだとそれ以上に優しい言葉で、柔らかい表情や仕草で甘い雰囲気を出されて、つい飲み込まれて息がつまって苦しくなる。
でも、それが自分にしか向けられる事の無い物だと分かってるから嬉しくてたまらない。
甘い苦しみさえも私にはただ幸せなだけだった。