第44章 〜44〜番外編③
「うわぁ…………」
政宗と馬に揺られて着いた先は、城から程よく離れた川だった。
水面が太陽に照らされて、キラキラと輝いていて眩しく見えた。
先に降りた政宗に抱き抱えられて地面へと降りて、2人で川辺りまで歩く。
「……入れるかな」
「今日は暖かいからな」
草履を脱いで、裾を手で軽く捲りあげて川に入った。
「冷たい……ふふ、気持ちいいなぁ……」
私が1人で川で遊んでいると、政宗が微笑みながら私を見つめている事に気がついて、子供っぽい自分が急に恥ずかしくなった。
「……もう……それっ」
少しだけ悔しくなって悪戯心が湧いて、片手で政宗に水を飛ばした。
政宗は驚いた顔をしたかと思うと、ニヤリと笑って私の方に走り寄って来た。
(……えっ)
政宗が目の前まで迫ってきて、気がつくと顔に水がかかった。
「冷たい……!」
「お返しだ」
子供みたいに笑いながら水をかける政宗が新鮮で、思わず笑みが零れる。
「あははっ……政宗……子供みたい」
「お前に言われたくない」
「ふふ」
「ほら、着物濡れてるぞ」
「あ……」
私が着物を確認しようとすると、ふわっと横抱きにされて川を上がる。
「……政宗だって裾濡れてるじゃん」
「お前が悪い」
「ごめんって」
少し離れた場所に降ろされ、足を伸ばして着物を乾かす。
「この天気だ、すぐ乾くだろ」
「うん」
政宗も隣に腰掛けて、同じように足を投げ出して後ろに寝転んだ。
「ほら」
私も同じように後ろに寝転んで、伸ばされた政宗の腕に頭を乗せた。