第40章 〜40〜
頬を伝う涙に驚いていると、政宗に抱きしめられた。
「政宗……」
「泣くな。」
「ごめん……泣くつもりなんて無いんだけど……勝手に……」
零れ続ける涙を拭おうと、政宗の身体を少し押した。
政宗は身体をゆっくりと離して、私の涙に何度か口付けた。
(……!)
「泣くな」
「う、うん……」
驚いて涙が止まった事に気が付かず政宗を見上げる。
優しい顔で微笑まれて、胸が高鳴るのを感じた。
「ま、政宗……」
「ん?」
「……待たせてごめんね」
「…………」
「もう……大丈夫だから……」
私が小さな声で呟くと、不意に身体が持ち上がった。
「うわっ……」
「、覚悟しろよ。」
「へ……?」
「俺はお前が思ってる以上に、お前が愛しくて堪らないんだ」
「…………」
「例えお前が未来へ帰りたいっても、俺が許さねぇ」
「……うん……」
「お前が自分の意思じゃなく、未来へ戻っちまったら……俺が何処までも追いかけて、またこの時代に連れ戻してやる」
「……うん……」
「お前が不安なら、ずっと側に居てやる」
「……うん……」
「だから、俺の前では笑ってろ」
「政宗…………」
「返事は?」
「……うん」
私が笑ってそう言うと、政宗は私を抱えたまま歩き出す。
「ちょ……何処に……」
「決まってるだろ?褥だ」
「……褥……」
「決心付いたんだろ?」
政宗はそう言うと、ニヤリと笑いながら奥の部屋へと入り、私を布団の上に下ろした。