第40章 〜40〜

(……ん？)


振り向くと、政宗がじーっと私を見ていた。


「な、何？」

「……いや。何でもねぇ」

「……そう？(何でもなく無さそうだけど……)」

「それより。ケジメはちゃんとつけられたのか？」

「あ、うん。大丈夫。思ってたよりスッキリした。」

「そうか」

「…………(なんの根拠もないけど……2度と未来に戻れないようにしたかったんだよね……無意味かもしれないけど……)」


私がふと考え事をして黙ると、政宗の手が顔に伸びて私の頬を撫でた。


「……！」

「お前……今何考えてる」

「え……」

「そんな悲しそうな顔すんな」

「嘘……そんな顔してた？」

「あぁ」

「…………笑わないで聞いてくれる？」

「……勿論。」

「あのね……私が荷物燃やしたいって思ったのは、さっきも言ったけどけじめ付けるためなの。でも、実はまだ理由があって……」

「なんだ？」

「……一つは、そうした事で過去と決別出来るんじゃないかなって思ったの。」

「決別……？」

「そう。そしたらちゃんと……政宗と向き合えるかなって……。決心付けるために……」

「……」

「うん。私の勝手なんだけど……別にそうしなくてもいつかは決心付いたかもしれない……でも、いつまでも過去のこと考えちゃうのが嫌だったの。」

「……そうか」

「もう戻るつもりもないし。それなのにいつまでも過去と今を比べるのも嫌で。なにか一つきっかけが欲しかったの。あと……」

「………あと？」

「……私がこの時代に飛ばされたのは、自分の意思じゃないの。目の前に落雷を感じたら……この時代に来てたの。」

「ああ、本能寺な」

「そう……だから、また無意識に飛ばされて……勝手に未来に戻されちゃったら……怖いなって……」

「…………」

「まあ……何がどうなるのか分からないから……無駄かもしれないけど、少しでも私と未来を繋ぐものは消し去っておきたかったの」



(悲しくはない……すっきりしたと思ってるのに……なんで……私泣いてるんだろ……)