第36章 〜36〜
食器をまとめ終え、後は運ぶだけとなった頃。
秀吉さんに声をかけられた。
「」
「んー?」
「お前はもう部屋へ戻れ」
「え?」
「あと食器を下げるだけだからな。俺達でやる。夜も遅いし、お前はもう部屋に帰って寝ろ」
「大丈夫だよ?」
「いいから」
秀吉さんは私を無理やり立ち上がらせて、広間の出口へと背中を押した。
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
「おう。おやすみ」
「おやすみなさい」
まだ残るであろう家臣の皆や、一緒に片付けをしていた三成君に挨拶をして広間を出た。
(そういえば。光秀さん広間戻ったら居なかったな……)
政宗を寝かせた後、2人とともに広間へと戻ると光秀さんは御殿へ戻ったのか姿を消していた。
(逃げ足早い……)
光秀さんがしてくれ話を思い出した。
(全てが終わったらって……信長様が天下統一した時の事を言ってるのかな。
だとしたら……正しい歴史だと信長様は本能寺の変で……。そして犯人は明智光秀だとされてる……それで……最期は豊臣秀吉に討たれるんだっけ……?)
そこでふと気がついた。
(私が信長様を助けて、そして犯人は顕如……歴史が変わったことで、明智光秀は犯人じゃないから、豊臣秀吉に討たれることもなくなる。……光秀さんのあの想いを結果的に助けたことになる……よね?)
歴史を変えてしまったことで、不安ばかり抱えていた気持ちが少し晴れた気がした。
(まあ、これからどうなるかわからないけど……本当に、2人が幸せになれるといいな……)
私は心からそう願いながら部屋へと戻った。