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イケメン戦国〜未来を夢見る〜

第35章 〜35〜





私はいい事を思いついたと、意気揚々と聞いた。


「光秀さんは、恋仲の女性とかいないんですか?」

「……お前、面白いことを聞くな」

「そうですか?ふと疑問に思ったので」

「そうだな……お前だけには教えてやってもいい。ただ、誰にも言うなよ?」

「え、なんですか?」


私が顔を輝かせて聞くと、光秀さんは見たことの無い、柔らかい笑顔で微笑んだ。


「故郷に残してきた女がいる。」

「へぇ……光秀さんの故郷って何処なんですか?」

「美濃だ。」

「美濃……(って確か岐阜だっけ……)」

「ああ。俺がまだ子供の頃からの付き合いでな」

「へぇ……(幼なじみってやつ?なんか意外……)」

「だが、結婚の約束もしてない。今はもう別の男と家庭を持っているかも知らん」

「え、どうして?」

「?」

「どうして好きなのに……」

「ふ、お前は純粋だな。好きだからこそ、愛しているからこそだ」

「愛してる……のに……?」

「俺が死んだら、お前は俺のために泣いてくれるか?」

「え……」

「俺が信長様に使えるために京へ向かうことになった時、その女に同じことを聞いた。」

「……なんて答えたんですか……?」

「『私を置いて上洛してしまう貴方に、流す涙など一滴たりともございません。』」

「……(ひどい……)」

「『ですが』」

「え……」

「『貴方が無事に生きて再び私の前に現れたなら、私はきっと貴方のために泣くでしょう』そう言われた」

「…………」

「だから、全てが終わったら、あいつの泣き顔を見に俺は故郷へ帰る。」

「光秀さん……」

「ん?」


(乱世って……そういう事なんだ……好きだけど……あえて共に生きない選択肢を選ぶ人もいるんだ……)


彼女の気持ちが痛いほどわかった。
近くにいれば、いつ戦に出向くかがわかる。
その度にきっと胸を痛めて、不安になって泣くんだろう。
そんなの余程強い心がないときっと耐えられない。
だから、彼女は離れた場所で無事を祈ることにしたんだろう。
彼女の気持ちを思うと涙が溢れ出た。
離れた所で無事を祈り続けるのもきっと辛いだろう。
そして、自分は政宗や皆が戦に出向く時、1人でも立っていられるか不安でたまらなくなった。







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