第34章 〜34〜
この城に来いと言われた時も仕事を勝手に決められた時は、少しだけ信長様相手に怒りというか自分勝手だなと感じた。
でも、秀吉さんがいうには私が早く城に馴染むようにとのお心遣いだと。
そう思えば口調は乱暴でもちゃんと意思を組み取れば優しさがそこにあるとわかった。
「」
「……はい?」
信長様に名前を呼ばれて、はっとして考えるのを辞めて信長様を見た。
「貴様、何を考えている」
「……別に何も……」
「俺に嘘をつけると思うか」
信長様は盃を傾けながら、私を鋭く見据えた。
「……信長様はお優しいなと思ったんです。」
「俺が優しいだと?貴様もう酔ったか」
「いいえ?そこまで弱くないです。」
私も1口お酒を飲んで答えた。
「……この時代に来た時は、不安しか無かったけど、信長様に城に来いと言ってもらえて……今はすごく感謝してます。」
「ほう……それは何故だ」
「毎日楽しいんです。元いた時代より何倍も。」
「政宗のおかげか?」
信長様はニヤリと笑いながら盃を煽り、広間へと目線を移した。
私もつられて目線を向けると、政宗と目が合った。
(こっち見てる……)
「ふ、あやつ俺とお前が話しているのが気になるらしいな」
「……そうみたいですね」
「まあ、たまには俺に付き合え」
「ふふ、はい。」
私は信長様にお酌をしながら答える。