第33章 〜33〜
「」
「政宗……軍議だったんじゃないの?」
「ああ。その流れで宴をする事になったから呼びに来た」
政宗は部屋に上がり、私がさっきまで向かっていた机の前に腰掛けた。
「宴……?なんで?軍議でしょ?」
「ん?いつもの事だぞ?」
「ふぅん……(軍議ってもっと真面目な物じゃないの……)」
「ま、今日の議題はそんな切羽詰まった物じゃないからな。宴も少人数だからそんな気をはらなくていい」
「そう……じゃあ行こうかな……」
「まあ、お前に拒否権はない。嫌だって言っても連れてくつもりだ」
政宗がニヤリと笑って私を見た。
「なにそれ。(まあ、嬉しいけど)」
「で?なにしてたんだ?」
「んー、勉強」
「勉強?」
「うん。この時代の読み書きをね。同じ国でも時代が違うと使われる言葉も違うから。少しでも早くこの時代に馴染みたくて」
「ほぅ……偉いじゃねぇか」
政宗は私の頭をクシャッと撫ぜた。
その手が暖かくて、ついさっきまで寂しいだなんて思っていた自分が馬鹿みたいに思えた。
この時代、1人になることの方が難しそうだなと思うと笑いが零れてしまった。