第33章 〜33〜
「何ひとりでにやにやしてる」
「にやにやなんてしてないよ。ただね、嬉しいなって思ったの。」
「嬉しい?」
「うん。さっきまでね、部屋にひとりでいたら色んな事考えて……なんか寂しいなぁって思ってたの。そしたら政宗が来てくれて嬉しいの」
「当たり前だろ?俺がお前をひとりで置いとくと思うか?」
「ふふ、思わない。それに、この時代に来てから寝る時以外殆ど誰かが隣に居てくれるから幸せだなぁって。」
「……?」
「元いた時代ではね、今と逆で殆ど1人だったから……やっぱりこの時代に来てよかっ……」
私が言い終わる前に目の前が真っ暗になった。
暖かい温もりを感じて、抱きしめられているのだとすぐに分かった。
「俺も……お前がこの時代に来てくれて良かったと思ってる……」
「うん……」
「俺がいる限り、なりたくてもひとりにはさせねぇ」
「ふふ、うん。」
「……」
身体を離されて、不意に顔を上げると真剣な政宗の顔がゆっくりと近づいてくる。
緊張しながらもゆっくりと目を閉じようとした時、再び襖が開く音が聞こえて思わず政宗の胸を突き飛ばしてしまった。
「!!!」
「おや、邪魔したか?」
「光秀さん……なんで……」
「宴だと、を呼びに行った男の帰りが遅いんでな。様子を見に来てやったんだ」
「……はぁ……(これ完璧遊んでるな……)」
ふと、突き飛ばしてしまった政宗を見やると、この上なく不機嫌そうに光秀さんを睨んでいる。
「政宗……ごめん……でもびっくりして……」
「お前は悪くない。悪いのはあいつだ」
「くくっ」
光秀さんは満足そうに笑っている。
「そう怒るな。ほら、。信長様もお待ちだぞ」
「あ、はい。すぐ行きます」
「ああ。」
光秀さんはそう言うと、部屋を後にした。