第6章 〜6〜
「で、アンタは何者なの。」
「家康、まぁそう急ぐな。とりあえず怪我の治療が先だ。」
「……承知。」
腑に落ちない顔で家康は渋々了承した。
そこでずっと黙って成り行きを見ていた政宗が口を開いた。
「そうと決まれば早く戻るぞ」
そう言って馬を私の横につけ、馬上から片腕で私を持ち上げ、自分の前に乗せた。
「!!!」
「信長様がお待ちだ。飛ばすからしっかり俺に掴まってろ」
「え……」
私の返事を待たず政宗は馬を走らせた。
残された秀吉と家康は、政宗の行動に咄嗟に驚いたが、すぐに二人して溜息をついた。
「まったく政宗のやつ。猪突猛進にも程がある。」
「政宗さんが自由なのはいつもの事でしょ。」
「それもそうか。さ、俺達も早く戻るぞ。」
「はいはい」
家康は足元に落ちていたあの女の物だろうと思われる荷物を持ち、馬に乗り秀吉と共に森へと入っていった。
「ねぇ、秀吉さん。」
「なんだ」
「あの女が、火事に関わってる可能性もあるんじゃないの」
「そんな事くらい、俺だってわかってる。」
「じゃ、牢に入れないまでもある程度気を付けて接した方がいいと思うんだけど。」
「そのつもりだが?」
「……(そのつもりな人は、頭撫でたりしないだろ……ましてや今日初めてあった女に……無自覚か)」
「確かに怪しい所は沢山あるが、ひとまず信長様の恩人として扱う。後は信長様の判断に任せる」
「……承知」
家康は秀吉に聞こえないよう小さく舌打ちをした。